赤字の均等割は経費(繰越欠損金)にならない。別表7と4の書き方

赤字法人の税務申告つづき。別表5-1と5-2ができたら、次は繰越欠損金に関わる別表7に着手する。続いて別表4を仕上げれば、ラストの別表1は自動的に完成する(e-Taxソフトの場合)。

のちのち利益が出たときに相殺できるよう、赤字でも欠損金をきっちり積み上げていくのが大事だ。令和の時代になってみると、青色申告で欠損金の繰越可能な期間は10年まで延びている。

別表7を記入していて、法人住民税の均等割は税務上の欠損金に含まれないことがわかった。そのため、決算書BS上の利益剰余金(マイナス分)と繰越欠損金は、毎年7万円だけずれていく…

これがわかると、別表4や別表1で税額計算の元になる所得額が、PLの「税引前」利益/損失と一致する理由がようやく理解できる。別表7と別表4の簡単な作り方をメモしておこう。

前期の別表七を確認

2019年10月現在、e-Taxソフトで表示される別表七の中身を見ると、繰越記入できる事業年度は10年分の欄がある。

ここに毎年の赤字額という負の資産を積み上げていくのが節税の醍醐味だ。後に生じた利益を相殺できるという意味では、簿外資産のように感じられる。

作業前に前期(2期)の別表7を確認すると、1期で計上した欠損金の一部を相殺していた。

前期の別表7

前期の別表7

その結果、利益はゼロになったので、法人住民税の均等割以外は税金が発生しなかった。e-Tax提出後に税務署から特に連絡はなかったので、書き方はこれで問題なかったように思う。

赤字と黒字を繰り返した場合

当期分については、まず欄内の指示どおり別表四「47の①」から欠損金額を転記する。内訳としては全額が青色欠損金で、法人税の還付も受けないので「欠損金の繰戻し額」は空欄。

別表7の書き方

別表7の書き方

そして昨年、一昨年の繰越額を下から記載していくことになる。参考に『法人税申告書の書き方がわかる本』には、赤字→赤字→黒字だったパターンのサンプルしか載っていない。今回のように赤字→黒字→赤字となったケースでは、どのように記載すればよいか悩んだ。

ネット上でも適当な事例が見つからなかったので、自分なりに考えてみた書き方を2種類紹介したい。

過去の繰越欠損金をどう書くか

まず1期目の「控除未済欠損金額」に2期の利益を相殺した残額を書くパターン。そして2期目の行は明示的に0を並べ、欠損金の翌期繰越額が増えなかったことを表現する。

別表7の書き方①

別表7の書き方①

繰越欠損金は過去10年さかのぼれるということで、毎年行を増やして上に詰めていった方が読みやすいだろう。

事業年度を見れば今から何年前かはわかるので、0の並んだ行は特に入力不要かもしれない。ただし別表7の行がちょうど10年分あることを考えると、欠損金の出なかった年もダミーの行を加えた方がすっきりすると思う。

次に、1期目の行は数字をいじらず2期目の「当期控除額」だけを記入するパターン。すると2期の「翌期繰越額」はマイナスの数値となり、1期目の繰越額と合わせた額は上の方法と一致する。

別表7の書き方②

別表7の書き方②

この場合、1期目で出た欠損金と2期目で控除した額を正確に把握することができる。過去の履歴がわかるので意味は通じやすい。

控除未済の残額だけ書く方がベター

1番目の方法では、1期目の欄に控除済みの残額を書くことになるので、元の欠損金がいくらだったかわからないというデメリットがある。ただし、1期の欠損金が正確にどれだけ残っているか把握するには適している。欠損金は古い年の分から相殺していくルールがあるからだ。

2番目の方法では、当期控除額の合計に2期目の控除額が反映されてしまうのがいまいちだ。「当期」というからには今回の3期目を意味するはずで、用紙の使い方として間違っているように感じる。

結局どちらの方法でも意味は伝わると思う。ただし、比べてみると最初の書き方の方が正しいように思う。もし今期で利益が出た場合、どの年度の残額からいくらずつ相殺していったかが把握できるからだ。

過去の控除額をマイナスで記録していく2番目の方法では、今期の控除額とそれ以前の控除額が混在してしまう。今回のように赤字の年なら問題ないが、利益の出た年には通用しないと思われる。

均等割は経費=欠損金にならない

赤字でも発生する均等割の7万円…実はこの金額は別表7の繰越欠損金にはカウントされないと気づいた。税務の常識なので以前は認識していたような気もするが、年に一度のイベントなのですっかり忘れていたようだ。

決算に出てくる税金のうち、法人税や法人住民税は経費にならない。その他の罰金や延滞税も同様。ただし法人事業税だけは例外で、印紙税や自動車税などと共に費用として認められる。

いずれも会社の財布から出ていくお金に変わりはなく、会計ソフトや決算書の上では費用と認識される。なぜこれらが経費として利益と相殺できないのか謎だが、国が決めているルールなので従うしかない。

別表四の書き方

「損金にならない税金」の存在を知ると、ようやく別表4の意味がわかってくる。

別表4の書き方

別表4の書き方

赤字決算の場合は最上部の「当期利益又は登記欠損の額」に、PL最下部の当期純損失をマイナスで記入する。

次に均等割の7万を加算部分の「損金経理をした納税充当金」に入れる。別表5-2で損金経理でなく納税充当金方式を選んだ場合でも、まぎらわしいがここに書くらしい。

減算部分に書くことはないので、冒頭の当期利益に納税充当金を足した額が下の方の仮計・合計・差引計・総計欄にそのまま反映される。そして最下部の「所得金額又は欠損金額」にも同じ金額が入り、e-Taxソフトでは別表1のトップに自動転記される。

所得金額=税引前の当期純利益/損失

法人税計算のもとになる所得金額は、損金不算入の住民税などを除いたもの。すなわちPLの「税引前当期純損失」から計算される。赤字だった場合も繰越欠損金は税引前の金額になるので、会期を重ねるごとにBSの繰越利益剰余金と申告書の欠損金はずれていく。

3期分の誤差を計算してみたら、64,100+70,000+70,000=204,100円。確かにこの金額の分だけ別表7合計額とBSの数字がずれていた。もし今後10年を超えた分の欠損金が無効化したら、両者はさらに乖離していくのだろう。

詳しいことはわからないが、別表5-1が決算書と税務上の簿価のずれを反映する役割を果たしているようだ。そこまで深く理解しなくても、素人の赤字申告としては「別表4の最後= 別表1の冒頭」がPL上で税引前の損失額になっているのを確認すれば十分だと思う。