無料で法人税申告~別表5-1と5-2の書き方(赤字法人の場合)

資本金1円で立ち上げた一人合同会社が3期目を終えたので、法人税の申告作業を始めた。昨年同様、e-TaxソフトとPCdeskを使えば税理士は必要ない。フリーウェイ経理Liteと合わせて、完全無料で確定申告を済ませることができる。

今期は予定どおりに赤字になったので、別表の記載もシンプルで済んだ。前回曖昧だった別表四、五(一)、五(二)、七の書き方についても、書籍を読み直してようやく意味が分かってきた。

申告については昔買ったこちらの本を参照した。10年ほど前の出版なので情報が古かったりするが、基本的な考え方は変わらない。古本なら100円以下で手に入るので、自力で申告するなら一冊持っておいて損はないと思う。

法人税申告書の書き方がわかる本

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小谷 羊太
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また一年後、申告の時期が来たらすっかり忘れてしまっていることだろう。備忘のために要点だけメモしておこうと思う。

まずは別表5の2枚について。別表5-2から5-1に転記する欄があるので、先に5-2を仕上げた方がスムーズだ。

法人住民税の均等割は納税充当金で

税務のテキストによれば、税金の支払いには以下の3つの方法がある。

  1. 納税充当金を取り崩してあてる方法
  2. 損金経理による方法
  3. 仮払経理による方法

中間申告のない赤字法人で、法人住民税の均等割に関しては、1の納税充当金を用いた方法が簡単だと思う。期末に未払法人税を計上しておいて、翌期に納めたら相殺する流れだ。

充当金を選んだ場合、仕訳は以下の2行になる(日付は9月決算で納付期限ぎりぎりで納めた場合)。

  • 決算日(今期):9/30  法人税等/未払法人税    70,000円
  • 納付日(翌期):11/30 未払法人税/現金や預金など 70,000円

損金経理や仮払経理に比べると、納税充当金は期末に未払法人税を負債として計上するのがわかりやすい。社会保険料や源泉所得税と同様に、いったん「預り金(負債)」として納付時に相殺するかたちになる。

別表五(二)の上側記入方法

法人住民税を納税充当金で処理する場合、別表五(二)の上部は以下のようになる。

別表5-2の上部

別表5-2の上部

東京都で23区以外の場合、道府県民税(都税)20,000円と市町村民税50,000円に分けて書く。別表上欄の見出しで「期首現在未納税額①」の列は、前期の「期末現在未納税額⑥」列をそのまま転記する。

前期も赤字なら①は20,000円+50,000円=合計70,000円。もし前期が1期目で赤字かつ会期が11か月しかなかった場合、均等割は18,300円+45,800円=合計64,100円になっていたりする。

「当期発生額②」と「充当金取崩しによる納付③」は今期の分を2万と5万に分けて記入し、仮払経理・損金経理の④⑤は空欄で済ませる。すると「期末現在未納税額⑥」は自動計算されて2万と5万が残る。これを来期の①にまた転記する。

別表五(二)の下側記入方法

別表の下側にある「納税充当金の計算」も、赤字続きなら均等割の7万を書き込むのみ。以下のようにシンプルになる。

別表5-2の下部

別表5-2の下部

期首納税充当金は前期末に計上した未払法人税7万がそのまま入る。繰入欄は今期計上した納税充当金が7万。取崩額には今期納めた前期分の均等割が7万。

その結果、自動計算される期末納税充当金は7万となり、これが帳簿上の未払法人税と一致する。

別表五(一)記入方法

毎年赤字続きで凝った経理はしていないので、別表5-1の上側(利益準備金~未収還付○○税の欄)は使わない。記入が必要なのは、その下の繰越損益金、納税充当金、未納法人税等の行だけだ。

別表5-1(第3期)

別表5-1(第3期)

上から説明すると、「繰越損益金(損は赤)」は別表5-2と同じく、「期首現在利益積立金額①」に前期の「差引翌期現在利益積立金額④」を転記する。そして「当期の増減…減②」には①の数値をそのまま入れ、「当期の増減…増③」には今期生じた額を入れる。

このうち繰越損益金の③は、テキストによると株主資本等変動計算書の「繰越利益剰余金」を入れることになっている。要するにBS上の繰越利益剰余金を意味するので、決算書から数字を写せば完了する。

次に「納税充当金」の行は、先に作成した別表5-2の下側から数字を転記する。期首①は期首納税充当金、減②は取崩額、増③は繰入額、差引④は期末納税充当金と一致する。

その下の未納法人税の欄は細かく分かれているが、赤字法人は別表5-1と同じく道府県民税と市町村民税しか使わない。

ここも期首①・増②・減③の欄に、上で説明した納税充当金と同じ額を入れる。③だけ中間/確定と2段に分かれているが、中間納付がなければ確定の方に全額書くだけ。すると差引④は自動計算される。

別表五(一)の検算方法

別表5-1の左側に、「御注意」として検算方法の記載がある。文字が横になっているので読みづらいが、転記すると以下のように書かれている(欄名は2019年10月現在のもの)。

期首現在利益積立金額「31」①+別表四留保所得金額または欠損金額「47」-中間分、確定分法人税県市民税の合計額=差引「翌期首現在利益積立金額合計「31」④

別表五(一)より

このうち3項目の「中間分、確定分…」の差す個所が不明だが、未納法人税等にある中間・確定の合計額を意味すると思われる。

今回の申告書で検算すると、以下のようになり金額自体は合っていた。

▲1,289,739+▲1,755,664-70,000=▲3,115,403

要するに決算書のBS純資産の部において、期首の利益剰余金に今期の欠損金+均等割を足すと期末の利益剰余金に一致するという意味。別表4のラストに出る金額は、「今期の赤字分から損金不算入の法人住民税を除いた分」と解釈することもできる。

前期の別表五(一)を確認・修正

振り返ると昨年2期の申告では、別表5-1に変な書き方をしていた。さいわい計算後の差引合計額はつじつまが合っていたおかげか、税務署から修正指示は来なかった。

面倒なので修正申告は行わなかったが、あらためて前期の別表5-1を訂正すると以下のようになる。

別表5-1(第2期)

別表5-1(第2期)

その前の1期は11か月間だったので、納税充当金は70,00円でなく64,100円。2期に若干発生した利益は1期の繰越欠損金で全額相殺できたため、繰越損益金の増③と差引④は期首の時点より減っている。

別表5-1、5-2はそれぞれ前期の期末欄から当期の期首欄に転記する作業が発生する。そのため、もし前期の数字が間違っていたら年を重ねるごとにずれていってしまう。なにか怪しいと思ったら、申告前にさかのぼって計算した方がベターだ。

別表五の簡単なチェック方法

完成した別表5の2枚を確認するコツとしては、以下のように覚えておけばよいと思う。

  • 別表5-2の④列、繰越損益金と差引合計額=BSの繰越利益剰余金
    (赤字続きならマイナスになる)
  • 別表5-2の納税充当金④=別表5-1の期末納税充当金=PLの「法人税、住民税及び事業税」=BSの「未払い法人税等」
    (赤字の年なら均等割7万のみ)

申告書の主要な数値が決算書と一致していれば、計算過程が間違っていても結果だけは合っているはずだ。

経験上、赤字の年は決算後2か月以内に法人住民税の均等割7万だけきっちり納めていれば、お役所は特に何も言ってこない。あとは別表7で毎年発生する繰越欠損金の増減を正しく管理して、利益の引き忘れがないように気をつければいいだけ。

税務について本質的に理解できなくても、やり方がわかれば別表5は簡単に作成できる。